ウィレムスのレッスンでよく歌われる歌に日本語の歌詞を考えてみたシリーズ、第二弾です。
第一弾はこちら↓。
3音の歌《ゆりかご Dans son Berceau rose》
今日ご紹介したいのは、《Dans son Berceau rose(ピンクのゆりかごで)》という歌です。
先に、楽譜とフランス語の歌詞、そして私の考えた歌詞をまとめたものを掲載します↓。
楽譜を見ていただくとわかる通り、ソ-ラ-シの三つの音のみで構成されているため、ウィレムスのテキスト『2音から5音の歌』の中では「3音の歌」に分類されています。
音の動きは、すべて順次進行になっていますね。
曲名の《Dans son Berceau rose》は、直訳すると「ピンクのゆりかごで」という意味になります。
そして、冒頭2小節の歌詞も 'Dans son berceau rose' となっていて、曲名と一致しています。
日本語訳の「ピンクのゆりかごで」をそのまま歌詞に当ててしまうと、文字数が多くて確実に楽曲のリズム感を損ねてしまいます。
さらに、前回ご紹介した《ことり》のように、この曲の歌詞も2小節目の「ピンク」を意味する 'rose' と3小節目2拍目裏からの「休息」を意味する 'repose' という単語が韻を踏んでいるのです。
これを反映させるために、2小節目と4小節目の4分音符二つには「ねんね」という表現を選び、揃えました。
この「ねんね」という表現、原曲の5小節目以降の歌詞が 'do do' となっていいますが、これが幼児語で「ねんねする」という意味なのです。
ここから言葉をとってくることによって、韻を踏むことと、4分音符2つが並んでいる原曲のリズム感を損ねないということを両立させました。
後半の歌詞は、先述したように原曲ではひたすら 'do do' が繰り返されるため、ここに前半で入れ損ねてしまった曲名でもある「ゆりかご」というキーワードと、それが揺れる様子を描写したオノマトペ「ゆらゆら」を当ててみました。
この曲の歌詞を考えるにあたっては、
① 楽曲のリズム感を損ねないこと
② 音符の数と、歌詞の言葉の文字数を一致させること
③ 歌詞の内容が原曲の内容と大きく変わってしまわぬこと
を重視しました。
日本語は一音節が基本的には一文字になってしまうので、②などは特に苦戦したところです。
さらに、歌う上ではこれが一番大切だと思いますが、子どもたちが親しみをもてる言葉を選ぶことにも配慮して、その結果、オノマトペも積極的に用いてみました。
この曲は短く速度変化もなくて、いかにもゆりかごが揺れる様を描写をしたようなやさしい曲調です。
ぜひ、子守唄のように歌ってみてください!