ウィレムスの音楽教育実践では、「スライドホイッスル」という楽器もよく用いられます。
スライドホイッスル、ご存知でしょうか?
↓こんな楽器です。
(ウィレムス国際会議で見た実践が楽しくて、ついその場で購入してしまいました)
スライドホイッスルとは、黒い管にマウスピースがついていて、この写真にも少しだけ写っている銀色の棒状のレバーを動かすことによって、音高が変化する楽器です。
どんな音がするかというと・・・?
よろしければ、ぜひ次の動画をご覧ください。
Slide Whistle demonstration by a novice!
こんなふうに、レバーを上下させることによって音高が滑らかに上下します。
この楽器は、導入期の子どもたちが音高変化を捉えるのにとても便利です。
どこが優れているかというと、レバーを上に動かすと音が上がり、下に動かすと下がるというところ!
大人である私たちがつい当たり前に使ってしまう「高い」、「低い」、「上がった」、「下がった」という概念は、子どもたちにとって当たり前ではありません。
これを視覚的に捉えながら聴覚を連動させていくことができるという点において、スライドホイッスルは導入期の子どもたちの実践に優れていると思います。
誰でも簡単に音が出せるというのも、指導者側にとって嬉しいポイントですね。
そんなスライドホイッスル、ウィレムスは上記の特性を大変有効に活用しています。
第1段階の実践では、例えば次のような実践をします。
・指導者がスライドホイッスルのレバーを上げたり下げたりしながら音を出し、子どもたちはそれを見ながら音を聴いて「上がった!」、「下がった!」などと都度答える。
・上の実践を何回か繰り返した後、指導者は子どもたちに背を向けてレバーをどちらかに動かし、子どもたちは音だけを聴いて「上がった」、「下がった」を答える。
・指導者がレバーをさまざまに動かして音高を変化させ、子どもたちはその変化を真似して声で表現する。
・レバーの部分を子どもたち一人一人に順に動かさせ、その都度、それぞれの音高とニュアンスの変化をみんなで声で表現する。
こんなふうに、ひとまず第1段階では音の上行・下行を聴き分けることと、音を声で模倣して表現することまでが目指されます。
私が見る限り、子どもたちは、細かな音高よりもニュアンスの変化を模倣して表現する方が得意なようでした。
「真似をする」という行為は一見簡単そうに見えますが、実際にはそのために音を注意深く聴く必要があり、しかも正しく聴こえていたところでそれを音として表現できるとも限らないため、必ずしも容易ではありません。
しかし、すぐにできるかできないかということではなく、こういった実践を継続していくことによって、ウィレムスの音楽教育では子どもたちの音に対する注意力や集中力を育てていきます。
スライドホイッスルを使った実践は第2段階以降にも続きますので、またご紹介いたします!