昨年度執筆した論文を『東京藝術大学音楽学部紀要 第43集』に掲載していただくことができ、刊行の運びとなりました。
今回書いた論文は、「エドガー・ウィレムスの歌に関する日本語の歌詞の検討」ということで、タイトルからそのままなのですが、ウィレムスのレッスンでよく歌われている代表的な3曲について、日本語の歌詞を考えてみました。
今後、ウィレムスの実践を日本でも少しずつ取り入れてみようと考えた時に、大きな課題となるのは言葉の問題なので、今回の論文はそのための予備的研究という位置づけです。
ウィレムスの実践で使われている歌は、どれも短く易しく、素朴で親しみやすいメロディばかりですが、いかんせん歌詞がフランス語!
日本の子どもたちが親しみをもって流暢に歌う姿は、あんまり想像できません・・・。
実際に、現在ウィレムスの実践が行われているイタリアやスペインやスロベニアではそれぞれの言語で全く同じ歌が歌われているので(スペインではスペイン語版とカタルーニャ語版と二通りあるそうです)、日本語でも歌えるようにしよう!というのが今回の試みでした。
単純な歌ばかりだから作業もサクサクっと進むかと思いきや、これが大間違いで・・・。
短いフレーズなのに毎回韻を踏んでいたり、オノマトペが多用されていたりして、それをどうやって日本語に反映させるのが良いか、大変悩みました。
可能な範囲でフランス語以外の同じ歌も楽譜を見たり聴いたりしてみましたが、やっぱり韻とかはそれぞれの言語にきちんと反映されているようでしたし、歌詞としてよくできていると感じたので、私もその部分を軽視はできませんでした。
また、限られた数少ない音符の中に日本語の言葉を当てようとすると、フランス語に比べてうんと言えることが限られてしまうのです。
でも、原曲のリズム感は損ねたくないし・・・。
毎日毎日ああでもない、こうでもない、と悩み、日本語スペシャリストのお友達や子育て中の妹、フランス人の先生などにたくさんお力添えをいただきながら、いろんな言葉を当てていきました。
その試行錯誤の過程と、結果的に選んだ歌詞を楽譜と一緒に示したものが今回の論文となっています。
いつか、日本の子どもたちと一緒に歌ってみたいです。
それにしても、この調子で他の曲も順次進めていこうとしたら、果たしてあとどれだけの時間がかかるのか・・・。
曲数は膨大です。
もしご興味がありましたらお手に取っていただけますと嬉しいです。
本文はそのうちweb公開にもなることと思いますので、そうなりましたらまたお知らせさせてください。
私事ですが、おかげさまで、またひとつ年齢を重ねることができました。
健康第一で、さらに実りある一年にしたいと思います。