「聴く力」を育てる音楽教育

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エドガー・ウィレムスの音楽教育研究

'Willems'の日本語表記について

'Willems' という名前の日本語表記について、これまで何気なく「ウィレムス」と書いていますが・・・

ここに至るまでには、けっこう試行錯誤してきました。

今日はそんな、論文には書けない「研究のウラ話」をしてみようかと思います。

 

ヴィレムス?ヴィレーム?・・・ウィレムス?

何しろ、ウィレムスについては日本語で書かれたものがとても少ないのです。

そして、その数少ない日本語で書かれたものは、ほとんどが「ヴィレムス」と表記されているので、はじめは私もそれにならって、修士論文で「ヴィレムス」と書きました。

でも、博士課程に入学し、ウィレムスの音楽教育に焦点をあてて研究していこうとなった時に、これから何度も書くであろう日本語の表記ってこれで良いのかな?と疑問をもちはじめました。

ウィレムスが書いた著書は全てフランス語なので、そのまま名前もフランス語読みするならば「ヴィレーム」となるはずです。

実際に、「ヴィレーム」と書いている先行研究も見つかりました。(とはいえ、その先生が「ヴィレムス」と表記なさっている別の論文もありますので、やはり同じような葛藤がおありだったのではないかと拝察しています)

うーーむ、「ヴィレムス」かな、「ヴィレーム」かな、けれど、そのまま読むと「ウィレムス」ともいえそう・・・。

 

ウィレムスの出生地の公用語フラマン語

ここでふと、ウィレムスの出生地はベルギーのフランデレン地域であったことを思い出します。

調べてみると、この地域の公用語フラマン語

では、フラマン語だとしたら何と読むのだろう・・・?

思い切ってベルギー大使館の方にお問い合わせしてみました。

ついでにウィレムスが日常会話や著書においてフランス語を使用していたこともお伝えしてみたところ、あっさり「エドガー・ウィレムスです」、というお答えを頂戴することができました。

その他の詳細については、以下のようなものでした。

 

「ウィレムスの時代は、まだフラマン語が庶民の生活レベルでの使用としてしか認められておらず、知識層は出身にかかわらずフランス語で表現していました。

母国語をフランス語とする人でも、ベルギー人であり名前がフラマン系であるので、フラマン語読みの 'ウィレムス' で通してもよろしいと思います。」

 

なるほど・・・!

知らない情報ばかりで大変勉強になったのと同時に、「よし、今後の私の研究では 'ウィレムス' を使おう!」と決心できた出来事となりました。

 

ヨーロッパの人たちも「ウィレムス」or「ヴィレムス」と発音していた!

日本語で「ウィレムス」と書こうと決めた後、イタリアで行われたウィレムス国際会議に出席できることになりました。

日々ウィレムスの音楽教育に関わっているヨーロッパや中南米の方たちが彼のことを何と呼ぶのか、注意深く観察していたところ、どうやら皆さん「ウィレムス」もしくは「ヴィレムス」のどちらかで発音しているようでした。

 

以上のことから、私は「エドガー・ウィレムス」という日本語表記を使用しています。

ちなみに、オランダ代表のJetro Willemsというサッカー選手がいますが、彼のことも日本語だと「イェトロ・ウィレムス」もしくは「イェトロ・ヴィレムス」と表記されるようです。